コーヒーの起源
その歴史　 Vol.1

 

　
コーヒーは、世界中で愛される飲み物の一つですが、その歴史は何世紀にもわたります。

本記事では、コーヒーの起源を、ストーリーを交えて深掘りしながら紹介します。

 

 

コーヒーの起源：カルディの伝説と歴史の真実

　
眠らないヤギと驚きの発見

 

ある日、エチオピアの山岳地帯を歩いていた羊飼いカルディは、いつもとは違うヤギたちの様子に気づきました。

夜になると静かに眠るはずのヤギが、飛び跳ねたり、駆け回ったりして興奮しているのです。

 

不思議に思ったカルディはヤギたちを観察し、その行動の原因が赤い実（コーヒーチェリー）を食べたことにあると気づきました。

彼自身もその実を口にしてみると、身体が温まり、眠気が吹き飛び、活力が湧いてくるのを感じました。

「これはただの果実ではない！」と確信したカルディは、その実を手に取り、近くの修道院へと向かいました。

 

修道院での発見と変革

修道院の僧侶たちは、カルディの話に半信半疑でした。

しかし、試しにその赤い実を火にくべると、焙煎されたコーヒーの芳ばしい香りが立ちこめました。

「この香りは何だ？」

興味を持った僧侶たちは、焙煎された実をすりつぶし、湯に浸して飲んでみました。

その瞬間、彼らは驚愕しました。

疲れが和らぎ、意識が冴え渡るような感覚があったのです。

 

「これは神の恵みだ！」

 

この発見により、修道士たちは夜の祈りの際にこの飲み物を活用し始めました。

そして、コーヒーはやがてエチオピア全土へと広まっていきました。

 

 

伝説か、それとも歴史か？

 

　
カルディの話は、あくまで口承で伝えられた伝説ですが、歴史的に見てもエチオピアがコーヒーの発祥地である可能性は極めて高いとされています。

エチオピア南部のカファ地方では、紀元前からコーヒーノキが自生していたことが確認されており、地元の人々がコーヒーチェリーを食用や薬用として利用していた可能性が指摘されています。

また、一部の部族には、コーヒーの葉を煎じて飲む習慣や、コーヒーチェリーを発酵させた飲み物を作る文化があったと考えられています。

つまり、カルディの伝説はフィクションでありながらも、何らかの事実を元にしている可能性が高いのです。

 

 

コーヒーのその後

　
コーヒーの発見は、エチオピアだけでとどまりませんでした。

やがて交易によってアラビア半島へと渡り、イエメンの修道士たちがその力に魅了されました。

14世紀頃、イエメンの港町モカを中心にコーヒーは貿易品として扱われるようになり、次第にイスラム圏全域に広がっていきました。

15世紀には、焙煎技術が発展し、現在のようなブラックコーヒーの原型が誕生しました。この頃には、「カフヴァ」（Qahwa）と呼ばれ、宗教的な場や社交の場で広く愛される飲み物となりました。

やがて、コーヒーはヨーロッパへと渡り、ヴェネツィアを経てフランスやイギリスへと広がりました。

その過程で、カフェ文化が生まれ、コーヒーハウスが政治や文学の交流の場となっていったのです。

 

 

コーヒーが私たちに与えた影響

 

　
現在、コーヒーは世界中で愛される飲み物となっています。

しかし、その背後には、エチオピアの羊飼いが偶然に発見した赤い実から始まる長い歴史と文化の変遷があります。

 

カルディがヤギの行動を見なければ、私たちは今、コーヒーを楽しめていなかったかもしれません。

この一杯に込められた歴史を思いながら、今日もコーヒーを味わってみてください。

 

 

Written by Bean Scribe

コーヒーの魅力を探求し、焙煎から抽出、文化までその奥深い世界を発信するライター。
日々の一杯に込められたストーリーを届けます。

 

 

 

 

 

 

 

代表　高山健二

・低温焙煎イノベーター
・シュエット トレファクチュール ラボラトワール　代表

 

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