コーヒー貿易の始まり
Beanの歴史探訪

 

　
遠い昔、エチオピアの山々で発見されたコーヒーは、やがて交易の波に乗り、世界へと広がっていきました。

私はBean Scribe。

コーヒーの魅力を探求し、焙煎から抽出、文化までその奥深い世界を発信するライターです。

今日は、コーヒーの歴史をたどる旅に出ることにしました。

 

 

モカ：コーヒー貿易の中心地へ

 

イエメンのモカは、14世紀から17世紀にかけてコーヒー貿易の中心地として繁栄しました。

 

この時代、イエメンのスーフィー（イスラム神秘主義者）たちがコーヒーを宗教的儀式に取り入れ、瞑想や夜の祈りの際に愛飲しました。

特にシャムス・アルディン・アル・ハラウィという聖職者が、コーヒーの普及に貢献したとされています。

 

イエメンの港町モカに降り立った私は、14世紀の賑やかな市場に足を踏み入れました。

香ばしいコーヒーの香りが立ち込め、商人たちが活気よく取引をしている様子が目に映ります。

 

「この豆はエチオピアの奥地から運ばれた最高のものだ！」

 

長い旅路を経てここへたどり着いたコーヒー豆は、焙煎され、「カフヴァ」として楽しまれていました。

修道士たちはこの飲み物を儀式の一部として取り入れ、夜の祈りの際に活用していたのです。

私は市場の片隅で、修道士たちがコーヒーを煮出す様子をじっと見つめました。

 

 

イスタンブールのカフヴェ・ハーネへ

 

オスマン帝国では、16世紀にスレイマン1世の時代にコーヒー文化が急速に広まりました。

コーヒーハウス「カフヴェ・ハーネ」は、学者や詩人、商人が集う社交の場となりました。

 

しかし、17世紀にはムラト4世が、コーヒーハウスが反政府活動の温床となることを恐れ、コーヒーを一時禁止する出来事もありました。

 

時が経ち、私はオスマン帝国の中心、イスタンブールへと旅を続けました。

16世紀に入ると、ここには「カフヴェ・ハーネ」と呼ばれるコーヒーハウスが次々と誕生しました。

 

「ここはただの飲食店ではない。知識と文化の交差点だよ。」

 

地元の学者や詩人たちが集まり、政治や哲学について語り合う場となったコーヒーハウス。

私は湯気を立てるカップを手に取り、その一杯が生み出した文化の広がりに思いを馳せました。

 

 

ヨーロッパへ渡るコーヒー

 

ヴェネツィアの商人たちは、17世紀初頭にオスマン帝国からコーヒーを持ち帰り、ヨーロッパ中に広めました。

特にフランスでは、ルイ14世がコーヒーを宮廷に取り入れたことで、貴族たちの間で流行しました。

一方、イギリスでは「ペニー・ユニバーシティ」が発展し、コーヒーハウスが知識人たちの議論の場となりました。

ヴェネツィアの貿易商がオスマン帝国からコーヒーを持ち帰ると、ヨーロッパの都市にもコーヒー文化が根付いていきました。私は17世紀のヴェネツィアに到着し、カフェの軒先で人々の会話に耳を傾けました。

 

「この黒い飲み物は神秘的な力を持っている。」

 

フランスでは文学者や芸術家たちがカフェで交流し、イギリスでは「ペニー・ユニバーシティ」と呼ばれるコーヒーハウスが登場しました。

ここでは、一杯のコーヒーを飲みながら、政治や経済について議論が交わされていたのです。

 

 

コーヒーがつないだ世界

コーヒーは、エチオピアの森からモカへ、イスタンブールからヴェネツィアへと渡りながら、世界をつないでいきました。私は最後に現代へと戻り、目の前のカップを見つめながら考えました。

 

「この一杯の背後には、何世紀にもわたる旅があったんだ。」

 

次にコーヒーを飲むとき、その一杯がどれほどの歴史を経て私たちのもとへ届いたのかを、ぜひ思い浮かべてみてください。

 

 

Written by Bean Scribe

コーヒーの魅力を探求し、焙煎から抽出、文化までその奥深い世界を発信するライター。
日々の一杯に込められたストーリーを届けます。

 

 

 

 

 

 

 

代表　高山健二

・低温焙煎イノベーター
・シュエット トレファクチュール ラボラトワール　代表

 

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