2018
11/18
焙煎による風味の変化。コーヒー豆本来の味わいとは?
コーヒーの本来の味ってどんな味?
最近「コーヒー豆本来の味わい」というフレーズを良く見聞きします。
chouetteで行なっているセミナーの中でも、多くの方から頂くこの質問。ちゃんとお答えしていきます。
良く聞く答えの代表的なものとして「フルーティな酸味のあるコーヒー」という答えが多いのですが、「それが本当なのか確認したことはありますか?」と聞くと意外と確認をした事が無い方が多いです。chouetteのセミナーにはプロのバリスタの方の参加もあるのですが、なぜ本来の味わいを確認した事が無いのでしょうか?
サードウェーブと共に日本に入ってきた浅煎りのコーヒーは、深煎りコーヒー特有の焙煎香や苦味を伴わない酸味を感じやすい特徴があります。さらに、軽くスッキリした飲み口は親しみやすさも与えてくれます。深煎りのコーヒーが苦手だった人が浅煎りのコーヒーなら飲めるということになり、新しくコーヒーを好きになる方が増えました。
コーヒーを好きになって頂くのは、とても嬉しいことです。
その結果として、たくさんの新しいコーヒーショップがオープンし、浅煎りのコーヒーばかりを扱うお店が増えました。
コーヒー豆の持つ自然な風味や個性を尊重するようになってきていますが、美味しいコーヒーが飲めるコーヒーショップが増える中で本来の味わいを知らない矛盾が存在します。
浅煎りのコーヒーの特徴である『酸味』と『雑味のないクリアな味わい』について、焙煎に焦点を当て詳しく考えます。
セミナーの内容に触れる部分は、少し解説を曖昧にする部分があります。ご容赦ください。
コーヒー豆には酸味はある!?
浅煎りのコーヒーに多く存在する酸味。注文時に、これが苦手だと言うお客様も多いです。酸味が強すぎれば、飲みにくいのは当たり前の話。それを当たり前のように提供できる空気があるのは、多くの思い込みやメディアの影響もあるでしょう。驚かれるかもしれませんが、コーヒー豆本来の味わいに酸味はほぼありません。むしろ、かなり甘い印象を受ける方が多いです。
なのに、なぜこんなにも酸味ばかりが強調される印象を受けるのでしょうか?
実は、酸味は焙煎工程(抽出も関係しますが、また別の機会で)で発生しています。焙煎によるコーヒー豆の変化によって酸味が強くなっていきます。コーヒーを浅煎りにする目的として、自然な風味を生かした焙煎をするためなのですが、酸味が強い時と丁度重なるのです。
焙煎によって発生する酸味と本来持っている甘さのバランスは焙煎によって調整されます。もちろん、コーヒー豆の地域特性によってその含有量や発生量も変化しますので、コーヒーそれぞれの個性に繋がっていきます。
同じコーヒー豆でも、酸味は焙煎によって調整する事ができます。chouetteのコーヒーの酸味が柔らかく感じるのは、もともと存在しているコーヒーの甘さを十分に感じられるからです。酸味が全くないコーヒーは、逆に味気がなく美味しいと感じる事ができません。なので酸味も美味しさの大切な要因となります。
大事なことは素材を尊重し、焙煎による酸味の加減を配慮すると言うことです。
雑味は美味しい
『雑味がなくて美味しい』
この言葉を1度は聞いた事があるのではないでしょうか?
雑味という言葉がどこから生まれたのかは定かではありませんが、昔からコーヒーの抽出において使われてきました。最近では、おそらくカッピングで用いる『Clean cup(カップの透明性)』から引用するようになったのではないかと思います。これは、コーヒー豆の風味がより明確に感じられる透明性を評価する項目です。濁ったイメージ(風味を明確に捉えられない)があると、スペシャルティコーヒーとして評価できません。
たくさんの風味をより明確に感じられる事は、素晴らしいコーヒーの条件です。
ただこれは、雑味があってこそ風味を感じられるのだとご存知でしょうか?
雑味に相当するものは、多くの香り成分・旨味・甘み・酸味といったコーヒーにとって欠かせない部分を多く含んでいます。つまりコーヒーの個性となる部分です。これが無いコーヒーを美味しいとは思えないでしょう。
コーヒー豆のクオリティ以外で、雑味が美味しくないという概念は、焙煎方法によって生まれます。多くの熱量を消費しコーヒー豆を焙煎するのですが、コーヒー豆に対する過度なストレスが嫌な雑味として現れます。素材自体の雑味が多い場合は嫌味な部分を明確にして抽出時に取り除く事が大切になりますが、近年ではコーヒー生豆のクオリティは向上し、スペシャルティコーヒーならほぼ嫌な雑味は存在しません。
chouetteでは、コーヒー豆の持っている美味しさを十分に表現するために雑味を取り除く事はしません。雑味自体も美味しさの一部だと捉え、表現するようにしています。雑味に含まれる香り成分・旨味・甘み・酸味といった良い部分をちゃんと表現する事が、焙煎によって可能だからです。
コーヒー事業を通して
コーヒーは、山に畑を作り、花が咲き実がなり、1粒1粒を手で収穫していきます。時間も人手も必要ですし、コーヒーの木から命を分けてもらうのです。
素材の持っている風味を余す事なく使い切る、また上手に活かすためには、全てを美味しく体に吸収できるようにする事が必要です。
コーヒー豆の持つ風味や美味しさを最大限に表現し、感謝の気持ちを伝えるためには、一般的に雑味と呼ばれる成分も美味しいと思っていただけるように焙煎する必要があります。
コーヒー豆が持っている味わいを心地よく感じるように表現する事が、低温焙煎では可能です。
低温焙煎だからこそ表現できる甘さ・まろやかさ・余韻の長さは、お客様からとてもご好評を頂いております。
ここ数年でコーヒー業界は、スペシャルティコーヒーを主軸として素材の風味や個性を確立できるようになってきました。
コーヒー豆の生産者の知識や技術の向上・トレーサビリティの確立といった要因が大きいでしょう。
大事に運ばれてきたコーヒー豆に対して、私たちができる事はなんでしょう?
素材を尊重し、酸味は最低限に配慮し、雑味は活かす。
これからの新しいコーヒーの考え方には、必要な事だと思います。
chouette 情報
代表 高山健二
・低温焙煎イノベーター
・シュエット トレファクチュール ラボラトワール 代表
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・独自の低温焙煎
・焙煎後24時間は、18℃で休息
・コーヒー豆は真空パッケージでお届け
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