2025
06/12
コーヒーのテロワールとは?土壌・標高・気候が風味を左右する理由を解説
Contents
コーヒーとテロワール──土壌・標高・気候が風味を決める
こんにちは、Beanです。
世界中で毎日20億杯以上飲まれているコーヒー。
その風味がここまで多彩で奥深い理由のひとつが、「テロワール(terroir)」にあります。
これは本来ワインで使われる言葉ですが、今やスペシャルティコーヒーの世界でも欠かせない概念です。
本記事では、テロワールとは何か?
その中で土壌・標高・気候・品種がどのように味わいを形成するのかを、科学的な裏付けを交えながら徹底解説します。
情報の信憑性も重視し、国際コーヒー機関(ICO)、スペシャルティコーヒー協会(SCA)、各研究機関の最新情報をもとにお届けします。
1. テロワールとは?──コーヒー版の“土地の個性”
「テロワール」とは、土壌、気候、標高、降水量、日射量、栽培技術など、生育環境すべてが生み出す農産物の個性を指します。
スペシャルティコーヒーの評価基準では、テロワールがそのまま「風味の多様性」を生み出す源泉とされています。
同じ品種でも、育った場所によって酸味の質、甘さ、ボディ、アロマがまったく異なるのはこのためです。
まさに、コーヒーは“土の味”とも言える飲み物なのです。
2. 土壌──ミネラルが香味を形作る
土壌の種類とコーヒーへの影響
コーヒー栽培に理想的とされるのは、**火山性土壌(バサルト)**を中心とする肥沃で水はけの良い土地です。
たとえば、コスタリカのタラス地区、エチオピアのイルガチェフェ、グアテマラのアンティグアなどは火山灰に恵まれています。
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カリウム:甘味と丸みを与える
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マグネシウム:香りの明瞭さに寄与
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リン:酸味の質を高める
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カルシウム:植物の健康を維持し、果実の成長を助ける
pH値とミネラルバランス
理想のpH値は5.5〜6.5の弱酸性域。
酸性すぎると根の吸収障害を起こし、アルカリ性すぎると鉄や亜鉛などの微量栄養素が不足します。
3. 標高──甘さと酸味を引き出す鍵
標高が高くなるほど、日中の適度な気温と夜間の寒暖差が生じます。
これにより**「ゆっくりと果実が熟す」**環境が整い、糖分や有機酸が蓄積されやすくなります。
標高帯 | 代表的な産地 | 味わいの傾向 |
---|---|---|
600m以下 | ブラジル低地部 | ボディ重視、酸は控えめ |
800〜1,200m | コロンビア、インドネシア | バランス型、柔らかな酸味 |
1,400m以上 | エチオピア、ケニア、グアテマラ | 鮮烈な酸味、複雑なアロマ |
国際コーヒー機関の統計でも、スペシャルティグレードの上位は概ね1,200m以上が多数派です。
*(「ICOなどの国際機関の統計全体の傾向+SCAの評価基準+専門文献による相関データ」 を根拠にまとめたもの。標高の低いブラジルでも素晴らしいスペシャルティグレードのコーヒー豆は生産されています。)
4. 気候──降水と日射のリズム
降水量と乾季のバランス
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年間降水量:1,200〜2,000mmが理想
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乾季の存在が重要:収穫・乾燥期にカビ被害を防ぐ
温度帯
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平均気温18〜22℃が高品質豆の適温
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25℃を超えると果実が早熟し、風味の浅さが出やすい
風と日射
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適度な風は病害防止と花粉媒介に貢献
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日射量のコントロールには**シェードツリー(シェードグロウン)**が活躍
5. 品種──テロワールの受け皿
品種の違いもまた、テロワールの反映具合を大きく左右します。代表的な品種ごとにその特徴を整理します。
品種 | 主な生産国 | テロワール反映度 | 味わい傾向 |
ゲイシャ | パナマ、エチオピア | 非常に高い | ジャスミン、シトラス、甘いフローラル |
ブルボン | ルワンダ、ブルンジ | 高い | 甘味、丸み、透明感ある酸 |
ティピカ | ジャマイカ、グアテマラ | 高い | なめらかなボディ、繊細な香り |
SL28/34 | ケニア | 非常に高い | ベリー、黒スグリ、鮮やかな酸 |
農業も日々進歩しています。
6. テロワールが評価に与える影響──カッピングスコアの裏側
スペシャルティコーヒー協会(SCA)のカッピング基準では、風味(Flavor)、酸味(Acidity)、バランス(Balance)、後味(Aftertaste)などが細かく評価されます。
これらの要素はすべて、テロワール+生産処理+焙煎+抽出の相乗効果で決まります。
テロワールの良さがある豆ほど、クリーンカップが高く評価され、欠点豆(Defect)率も低く抑えられます。
7. テロワールの課題──気候変動との闘い
地球温暖化により、コーヒーの理想的な栽培地は縮小しつつあります。
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2050年までにアラビカ種の適地が50%以上減少する恐れ(世界自然保護基金WWF試算)
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病害虫(コーヒーベリーボーラー、さび病)の被害拡大
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雨季の不安定化で結実不良
これに対し、シェードグロウン農法や**品種改良(耐病性品種の開発)**が模索されています。
8. テロワールを「飲み比べて感じる」楽しみ方
テロワールは机上の知識だけでなく、実際のカッピングで体感するのが醍醐味です。
たとえば:
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エチオピア・イルガチェフェ(高標高×火山性土壌×ナチュラル精製)
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ベリー系の爆発的アロマ、紅茶のような透明感
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グアテマラ・アンティグア(高標高×火山性土壌×ウォッシュド精製)
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ダークチョコ、カラメル、穏やかな酸
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ケニア・ニエリ(高標高×SL28×洗練された水処理技術)
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ベリー、カシス、明るいシトラス系酸味
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9. まとめ──
一杯の背景に広がる土地の物語
テロワールを知れば知るほど、コーヒーは「味」以上の魅力を持ちます。
そこには生産者の努力、自然との共生、科学的な管理が積み重なっています。
次の一杯を飲むときは、ぜひ「どの土地の物語なのか」を意識して味わってみてください。
Written by Bean Scribe
コーヒーの魅力を探求し、焙煎から抽出、文化までその奥深い世界を発信するライター。
日々の一杯に込められたストーリーを届けます。
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