chouette torréfacteur laboratoire

Blog

2017

09/17

コーヒーを五感で味わおう

コーヒーを味わうということ

 

 
私達は普段、何気なくコーヒーを飲みます。

なぜコーヒーを飲むのでしょう?

・おいしいから?

・手の届く場所にあったから?

・コンビニで買えるから?

 

理由は人それぞれだと思います。

では、コーヒーを飲んでいる風景を思い浮かべてみて下さい。

目を閉じて、コーヒーの香りや近くで聞こえてくる音を思い出してみて下さい。

そばには誰かいますか?楽しいおしゃべりをしているのでしょうか?

悲しい思い出のある人もいるかもしれません。

コーヒーは非常に香気成分の強い飲み物です。

香りを感じる嗅覚は記憶に強く作用します。なので、コーヒーを飲んだときの記憶と直結しやすいのです。

私は、心地よい記憶を求める欲求が人間にはあるのだと思います。

コーヒーが好きだと感じる人はコーヒーに対してポジティブな記憶があるのではないでしょうか。

 

実は私もその一人です。

コーヒーが美味しいという事も幸せなのですが、飲んでいる時の楽しい記憶がコーヒーを求めます。

 

今日はそんな「感覚」の事を少し書きたいと思います。

 

 

味覚について

 

 
味わいの部分で味覚は外せません。美味しい事は幸せです。

この味覚ですが、コーヒーだけではありませんよね。私達が普段食べる食事にも共感の多い部分です。

生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが基本味に位置づけられています。

コーヒーの成分にはこの五味を感じる成分がちゃんと含まれています。

お客様からよく言われるのですが、「酸っぱいコーヒーは苦手」という方が多いです。それは酸味に偏って味を感じてしまう事が原因でしょう。

コーヒーは酸味を必ず持っている作物です。

甘酸っぱくないリンゴはリンゴらしく無いように、酸味が欠けてしまうとコーヒーらしくないのです。

大切なのはバランスです。

やっぱり、甘酸っぱくて美味しいコーヒーが良いですね。

スッキリさっぱりも良いですが、コクを感じるコーヒーも美味しいです。このコクとは何でしょうか?

コーヒー豆の持つ油脂分が口の中に絡み付き、コクを生み出すのも確かです。ペーパードリップでも感じるコクは油脂分よりも五味をバランスよく感じる事で複雑な味わいを脳がコクと判断しています。

コーヒーの味わいは焙煎を深くする事で酸味から苦みに変化していくというのが一般的です。

chouetteでは違います。苦みと酸味は別物です。

酸味はコーヒー豆が本来持っている物で熱を加える事で飛んでいきます。酸味が無くなるという事は焙煎時に熱を加えすぎている事が原因です。

苦みは焙煎時に熱を加えすぎる事で苦み成分が発生します。苦みが強いコーヒーはコゲている状態を指します。

素材本来の味を知って頂き、コーヒーを飲んだ時にコーヒーだと瞬時に判断できる1杯を私達は目指しています。

 

chouetteのシグネチャードリンク「Drop shot」で使われているお猪口。これも実は味覚に作用するように考えられて導入しています。

ドロップショット

陶器は薄く、裾の広がったフォルム。これが大事なんです。

口の中に流し込むと舌の上に広がります。舌の上には味蕾と呼ばれる味覚を感じる機関があります。舌の位置によって感じられる味覚も変わってきます。舌の上に広がるように流れ込んだコーヒーは全ての味覚を刺激して、複雑な味わいを感じさせます。初めての方はちょっとパニックになるかも(笑)。

温度も通常よりは低めです。少量しか無いのですぐに冷めてしまいます。高すぎる温度では全ての風味を感じる事は難しいです。感じやすい温度にすることが大事です。

 

一般的なデミタスカップでは、量が少ないとすぐに冷めて本来のおいしさを失ってしまうので、それを防ぐためエスプレッソカップには厚みがあります。

また、芳醇な香りを逃さないように飲み口の開きはあまり大きくなく、飲み口に丸みがあることが良しとされます。

 

考え方がまるっきり違うコーヒーなので,私達はオリジナルの名前を付けて提供しています。

 

 

視覚について

 

 
コーヒーを視覚でも味わいましょう。

ラテアートなら分かりやすい視覚での楽しみ方ですよね。

渦とハートのラテアート

コーヒーのもともとの色をご存知ですか?

色素を集めていくと濃くなって黒っぽく見られますが、光を当てて透かして見るとよくわかります。

コーヒーの試飲

輝いていますね。黄金色と言ったら言い過ぎでしょうか?

 

コーヒーの生豆は緑っぽい色をしています。

これが焙煎を通して熱を加える事で、一般的に良く見られるコーヒー豆の状態に変化します。

コーヒー生豆と焙煎豆

左が生豆。右が焙煎豆。

 

コーヒーを飲む前にちょっとカップの中を覗いてみて下さい。

コーヒーはカップに注がれる事が多いため見た目が地味ですが、美味しく淹れられたコーヒーはそれだけで美しい物です。

コーヒーに映るライト

 

ちなみにですが、食事の際の五感による知覚の割合はなんと視覚が83%、聴覚が11%、嗅覚3.5%で味覚はなんと1.0%という調べもあります。

ほとんどが視覚から来ているのです。

味覚なんて1.0%というから驚きです。

目を閉じて物を食べると、何を食べているか分からないなんて事ないですか?

これを奪ってしまう事で、何を食べているか分からなくなっている状態です。

目で味わうとは本当にその通りの言葉なんですね。

 

 

聴覚について

 

 
時間さえあれば、ゆっくりとした時間とともにコーヒーを楽しみたいのです。

ご自分でコーヒーを淹れる方であれば、お湯を沸かす音、コーヒー豆を挽く音、コーヒー豆にお湯を差し込む音、カップに水滴が落ちる音・・・

BGMなんかもあったらいいですね。その日の気分で。

お店だと大きなミルが回る音と共にコーヒーの香りが飛び出し、カップが置かれた音の先を見るとカップの中にはかわいいハートが。

そんな音に関連したコーヒーの嬉しい瞬間ってありませんか?

コーヒーを淹れる時の音、飲んでいる時に聞こえてくるたわいもないおしゃべりもBGMだってコーヒーを美味しくしてくれるスパイスになるのではないでしょうか。

 

 

触覚について

 

 
chouetteにとって、触覚も大事な美味しさのファクターです。

カップの重さや持ち心地。デザートを乗せるお皿の触り心地やカトラリーのサイズ。

そしてコーヒーが口の中に流れ込んでくる質感。

 

視覚もそうなのですが、コーヒーを飲む時に目にしたもの触った物がコーヒーのクオリティを高めてくれます。

木のテーブルやお尻の形に合わせて曲がったイス。

ちょっと寄っていくのに「ちょうどいい」が、たくさんお店の中に散りばめられているんです。

 

お店ではいろいろな物を触ってみて下さい。

ラテとふくろう

 

 

嗅覚について

 

 
あえて香りについてはここまで触れませんでした。

冒頭にもお話させて頂きましたが、コーヒーは香気成分の強い飲み物です。

視覚を奪うと人間は何を食べているのか分からなくなると、視覚の時にお話しました。

 

さて、人間が視覚を奪われた時に他のどの感覚を使って食べ物を識別しているのでしょうか?

そうです。嗅覚です。

素材本来の香りは記憶の扉を開け、現在口にしているものが何なのかを認識させます。

だから、香りには非常に大きな役割があるのです。

それに、鼻をつまんで物を食べてみて下さい。

味が分からなくなります。これは香りを認識する事で美味しさを感じられるからです。

鼻が通らないだけで味覚はバカになってしまいます。

 

私達はコーヒーを扱うので当然のようにコーヒーをお客様に提供しているのですが、お客様からお褒めの言葉を頂戴する機会があります。

これは視覚や触覚でコーヒーと認識して飲んだドリンクが記憶や知識を少し超えた時に起こります。

 

ハードルを超える為に強い香気成分で嗅覚に直接働きかけます。

chouetteのコーヒーが素材本来の味を求める事が、結果として少し上の美味しさに繋がっています。

ブラックトップ

 

 

まとめ

 

 
みなさんがコーヒーを飲むときは、こんな堅苦しい事は考えずにとにかく楽しんで欲しいと思います。

美味しかった、楽しかった記憶が、またコーヒーを飲みたいと思わせてくれます。

 

毎朝のコーヒーも、仕事の一息も、友達とのおしゃべりも、恋人とゆっくり過ごす休日も、コーヒーがあなたに幸せな時間を届けてくれるでしょう。

 

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代表 高山健二

・低温焙煎イノベーター
・シュエット トレファクチュール ラボラトワール 代表

 

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