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2018

02/09

コーヒーの焙煎 Vol.2 【エイジング】

コーヒー焙煎後のエイジング

コーヒー豆

 

 
コーヒーライフを楽しまれていますか?

カフェでコーヒーを楽しまれる方もお家でコーヒーを楽しまれる方も、コーヒーのある生活で少しでも幸せを感じて頂けると嬉しく思います。

 

コーヒーが焙煎されてからコーヒーとしてカップに注がれるまでの保存期間で、味わいが変わることをご存知ですか?コーヒー豆は鮮度が大切なので焙煎してから早いうちに飲み切ってしまった方が良いと言うのは有名な話で、コーヒー豆屋さんでコーヒーを買う時に1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

実際にコーヒーは、焙煎後に化学変化を起こしながら少しづつ劣化していきます。

主な原因は3つあります。

・水分

これは空気中の湿度も含まれます。焙煎豆は多孔質(スポンジのように小さい穴がいっぱいあいているイメージ)で、 水分含有量も1~3%と、水分を吸着しやすい状態になっています。

・酸素

空気中に含まれる酸素とコーヒー豆が触れることで、酸化という現象が進みます。 ちなみに酸っぱくなることを酸化と言うのではありません。 酸素と触れて起こる化学変化を酸化といいます。 コーヒーの場合、酸化すると結果として酸っぱくなることがあります。

・光

紫外線によって劣化が進むので、太陽光だけでなく蛍光灯の光も劣化を促進する要因となります。

この3つを要因にした科学変化がコーヒー豆を劣化させるのです。なので、ご購入後は早めに飲み切って頂きたいです。

 

【コーヒー豆の保存方法】

 

 

今回のテーマはコーヒー焙煎後のエイジングです。エイジングとは熟成のことです。

スーパーでも朝穫れのレタスやトウモロコシ,◯◯漁港直送の海産物といった、いわゆる「穫れたて」の食材が並んでいるのをたまに見かけます。「新鮮=おいしい」という方程式が成り立っているのでしょう。これは正解でもあり不正解でもあります。

 

食材によって違いはありますが、熟成させることでその美味しさをアップさせることができます。お肉の分野でもエイジングビーフが流行りました。これは肉だけではなく、魚や野菜でもエイジングを行うことがあります。

 

ことコーヒーに関して言えばどうでしょうか?

焙煎直後のコーヒーは、実はあまりおいしくありません。少なくとも2~3日経ってからの方がおいしいのです。「鮮度が大切なのに焙煎直後がおいしくないの?」と、不思議に思われるかもしれません。焙煎したコーヒー豆は、顕微鏡で見るとスポンジのように小さな穴がたくさん空いた状態になっています。焙煎したてのコーヒーは、この穴の中に二酸化炭素を主にしたガスがいっぱい詰まっています。そして、時間経過とともにガスが抜けていきます。

抽出開始

焙煎したてのコーヒー豆が膨らむのは、お湯で暖められたガスの体積が膨張してあふれ出すからです。コーヒー豆が膨らむのは焙煎してから日数が浅い証拠になります。これは、確かに新鮮な証拠ではあるのですが、実はこれによってコーヒー の抽出があまり 良くない状態になってしまうんです。

 

コーヒーにお湯を行き渡らせておいしい成分を抽出したいのに、あふれ出すガスによって邪魔されて上手に抽出できなくなってしまいます。そして、味わいは「焙煎したて」の風味がします。「焙煎したて」のコーヒーは、少しスモーキーな香りがして甘酸っぱさやコクが弱くピリピリした弱い刺激を感じます。

 

たった2~3日のエイジングで、刺激やスモーキーさは無くなり風味の輪郭が浮き上がります。

 

 

コーヒーを焙煎後のエイジング検証

 

 
コーヒー豆による個体差があるので、今回テストした銘柄はあえて伏せておきます。カッピングサンプルは、6種類です。

・焙煎直後

・焙煎3日後

・焙煎1週間後

・焙煎1ヶ月後

・焙煎2ヶ月後

・焙煎3ヶ月後

 

chouetteで焙煎しているので、同じ焙煎になっていることは焙煎データから確認できます。焙煎プロファイルが同じであるので、ほぼ同じような風味特性で焙煎されたはずです。

コーヒーカッピング

このテストは、実際にchouetteのオープン前に行ったテストの1つです。保存条件は、空気バルブの付いたアルミ蒸着の袋に入れ18℃の保管庫でおこないました。chouetteでは、今でもその当時のテスト結果と同じ保存方法です。

 

カッピング結果

・焙煎直後

焙煎したてのコーヒーは、予想通りピリピリとした刺激が強く、香り特性も感じづらい印象でした。酸味は明るい印象がありますが、総合的に他のサンプルと比べるとあまり良くありません。

・焙煎3日後

刺激はおさまり、風味特性もしっかりと感じられます。クリアな印象が強く、アフターフレーバーがまだ少し伸びない感じがありました。

・焙煎1週間後

風味特性はしっかりと掴め、明るい酸味と甘さが出てきてバランスが良くなっている印象を受けました。焙煎直後に比べれば明らかに輪郭がはっきりして好印象です。

・焙煎1ヶ月後

明らかに甘さを感じ、質感が滑らかになりコクを感じるようになりました。明るさと言う点では少し劣りますが、1番たくさんのフレーバーを感じることが出来ました。アフターも長くなっているのが非常に良かったです。

・焙煎2ヶ月後

滑らかな口当たりや甘い余韻は非常に好印象でした。酸味や香りの部分で少しぼやけた印象を覚えます。焙煎したてのものと比べれば、こちらの方が総合点で上回ります。

・焙煎3ヶ月後

思いのほか美味しかったです。何よりも甘さとマウスフィールが良かったです。古い印象は正直ありません。酸味が丸くなり明るさを欠いていることと、フレーバーが弱くなっているのを感じました。

コーヒーカッピング

 

総合的な傾向を言えば、エイジングを取ることで口当たりが丸くなり、コクを感じボディが出ます。絡み付く甘さが伴う深みがありました。焙煎から日が浅いうちは、明るさと言う点では勝っており、クリアな口当たりになります。エイジングすることで酸味やフレーバーに厚みが出ると言った印象を受けました。日数が経過することでポジティブな点とネガティブな点が出てくることは確かです。総合的にカップとして評価した結果です。焙煎方法によっては違ってくることもあると思います。焙煎したてのコーヒー豆を批判しているわけではありません。

 

実際にchouetteで、コーヒーをお出しする豆は2週間を経過したものであることがほとんどです。しっかりと温度管理されたコーヒー豆は、2週間を過ぎた辺りの方がエイジングによるおいしさが増します。

 

安心して頂きたいのが、chouetteでコーヒー豆を購入される際は出来るだけ良い状態の焙煎日が早いものをお渡ししています。Online storeの場合は、注文を受けてから焙煎します。なぜなら、ご自宅でのコーヒーの保管方法や輸送中の管理状態とchouetteでのコーヒーの保管方法には差が生まれるからです。

 

やはり焙煎日から早い新しいコーヒーをお客様にお届けしたほうが、結果として お客様のもとでコーヒーがおいしい期間が長くなるので、できるだけ焙煎日の近 いものをお渡しするようにしています。お渡ししてから10日〜14日くらいは良い状態でおいしく飲むことができます。

テイスティングセット

 

ご自宅でエイジングしたコーヒーをおいしく飲む為に

 

 
エイジングが進んだコーヒー程、ペーパードリップでコーヒーを入れる際に膨らみません。つまり、おいしさとコーヒーの膨らみは密接な関係があるわけではないことが分かります。

 

エイジングは出来るだけコーヒー豆を劣化させないように保存することで、ポテンシャルを引き出す方法です。なので、劣化と言う観点からすれば、焙煎直後から始まっています。ご家庭ではコーヒーの管理環境が良くない場合もありますので、出来るだけ鮮度を保った状態の焙煎後数日経過したコーヒー豆を購入するとちょうど良いのかもしれません。コーヒーのエイジングを楽しみながら、毎日微妙に変化するコーヒーの表情を感じて頂けると思います。

 

ただ、あまり神経質にならずに軽い気持ちでコーヒーを楽しんで頂きたいと思います。ぜひ参考にしてみて下さい。

ハンドドリップ,ペーパードリップ,プアオーバー

Enjoy coffee.

 

焙煎についてのブログはこちらにまとめております。よろしければ。

【How to roast】

 

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